コラム

インターネットを使ったビジネスの種類

染谷昌利

インターネットを活用したビジネスは数多くあります。本項では同時並行が可能で、一過性の収益で終わらず、手をかければかけるほど収益が積み上げ式に伸びていく、複業化を進めていくためには欠かせない方法を解説します。

ブログ・ウェブサイト運営による広告収入型副業

ブログとは「WebをLogする」という意味でWeblog(ウェブログ)と名付けられ、そのWeblogが省略されてBlog(ブログ)と呼ばれるようになったウェブサイト/ホームページの一種です。

2017年現在、国内最大級のブログサービスであるアメーバブログだけでも利用者数が4200万人を超えています。日本国内には他にもライブドアブログやはてなブログなどの無料ブログサービスも存在し、利用しているユーザーも数多く居ます。

自分でドメイン(URL)を取得し、レンタルサーバーを借りて、WordPressやMovable Typeなどのコンテンツマネジメントシステムをインストールし、ブログを運営している人もいます。今や誰もが簡単にブログを開設し、インターネット上に発信できる環境になっています。

ブログを出発点にして出版に至る人もいれば、自分のお店の集客に利用する人もいます。会社員との兼業で始めたブログの広告収入が会社員の給与を超えて、ブログの収入だけで生活する人も存在します。

あなたの体験や考えを発信することで、その情報に共感してくれる読者との信頼関係が構築され、あなたの紹介する商品を購入してくれたり、あなたの運営するお店に訪れてくれたりする可能性も生まれます。

インターネットの素晴らしいところは境界が無いという点です。沖縄在住の人が発信した情報でも、瞬時に日本国内にとどまらず世界中に共有されます。英語で書かれた文章であれば、英語圏に住む人たちにもあなたの伝えたい事が届きます。海外からの旅行者が、あなたのブログを読んで日本の観光地を巡ってくれたら素敵だと思いませんか。

ブログ運営は日記的な使い方もありますが、金銭的収益を上げることも充分に可能です。ブログを活用した収益方法は大きく分けて2つあります。1つ目が広告収入、2つ目が自社商品(サービスやセミナー、書籍などを含む)の販売です。前項「インターネット副業を勧める3つの理由」でも説明しましたが、情報発信力を高めておけば、どんな商品やサービスでも売れるようになります

会社に勤務したりアルバイトをしたりして「給与」という形でお金を稼ぐことが一般的だった世の中で、自宅で商品を魅力的に紹介する、自分の持つ知識や経験をわかりやすく発信することで収入を得ることができるようになりました。

景気が不安定の中、副業として自分自身で収入源を増やすというスタイルや、急に働けなくなる可能性に対してのリスクヘッジを行うことができるようになったのです。

とはいえ、最初から在庫を抱えるビジネスはリスクが大きくなりますから、本項では広告収入の方法について詳しく解説します。

■クリック報酬型広告

クリック報酬型広告の代表としてGoogle AdSenseがあります。広告を出稿したい会社がGoogleの提供するシステムを通じて、各ニュースサイトや個人ブログなどに最適化された広告を配信する仕組みです。

配信された広告が読者にクリックされることにより、メディアには報酬が、広告主には広告料が発生するわけです。なお、Googleは仲介手数料を貰う仕組みになっています。

クリック報酬型のシステムは、配信された広告がクリックされるだけで収益になります。そのためブログの運営者は訪問者数を伸ばす施策や、効果的に広告をクリックしてもらうレイアウトの検証に注力することができます。

簡単にGoogle AdSenseの運用方法をまとめると

  1. Google Adsenseに登録する
  2. 自分のブログにGoogle AdSense広告のプログラムコードを配置する
  3. 配信された広告を読者がクリックする
  4. ブログ運営者が報酬を得る

という流れになります。

Google AdSenseの申込方法については以下の動画やヘルプページをご確認ください。

ヘルプ - Google AdSenseお申し込み方法

■成果報酬型広告(アフィリエイト広告)

アフィリエイトというと、怪しいお金儲け的な印象を持っている人も居るかもしれませんが、決してそんなことはありません。アフィリエイトは成果報酬型広告と呼ばれるインターネット広告の配信方式の一種です。

ブログやSNSなどで製品やサービスを紹介し、その記事を読んで興味を持ってくれた人が商品を購入した、サービスを申し込んだ際に報酬が発生するシステムです。

実はポイント交換サイトや商品レビューサイトなどの企業サイトでもアフィリエイトが活用されています。

セゾンポイントモール
価格.com

セゾンポイントモールのようなポイントサイトは、ユーザーがポイントを得るためにサービスに申し込むことで、運営者(クレディセゾン)にアフィリエイト報酬が入る仕組みになっています。

価格.comのような商品レビューサイトでは、実際に商品を利用した人が使用感をコメントし、その感想を読みに来たユーザーが商品を購入することで運営者(カカクコム)に報酬が入ります。

企業でも自社の収益を向上させるためにアフィリエイトの仕組みを利用しているのです。もちろん、個人のブログ運営者も利用することができます。

アフィリエイトを利用する時は、アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)に登録して、商品やサービスを探すことが一般的です。Amazonアソシエイトや楽天アフィリエイトといったショッピングモールとASPを兼務しているサービスもあれば、A8.netやバリューコマースといった仲介機能に特化したASPも多数存在します。

広告主(EC)は販売のための広告コストを抑えながらの商品やサービスの積極的な展開が可能で、ブログ運営者は自分の好きな商品紹介することができます。そして商品が売れた際にブログ運営者は指定額の報酬を受け取ることができ、広告主は商品の売り上げが確定してから報酬を支払うという低リスクでの運営が可能になります。

代表的なアフィリエイト・サービス・プロバイダ

Amazonアソシエイト
楽天アフィリエイト
A8.net
バリューコマース

最初のうちはこの4つのサービスに申し込んでおけば問題ありません。サービスごとにサービス利用方法が載っていますので、ブログ記事を10記事程度書き終わったら利用申請しましょう。

■ブログで広告収入を得るために必要な5つのポイント

クリック課金型広告や成果報酬型広告を利用するにあたって必要なモノ・コトは5つあります。

  1. ブログ
  2. 銀行口座(Google AdSense、アフィリエイトサービス申請者と同名義)
  3. ブログのメインテーマ設定
  4. 運営するモチベーション
  5. 継続力

1つ目のブログについては、広告を掲載するために必要になります。注意点として「広告を利用できるブログサービス」であるという点があります。

実は国内最大級のブログサービスであるアメーバブログは自由に広告を利用できません(一部のアフィリエイト広告が利用可能になりました)。ですから、広告収入を得るためにブログを運営する場合には、はてなブログやライブドアブログ、あるいは自分でサーバーを借りてWordPressというシステムをインストールして運用することをお薦めします。

2つ目の銀行口座はブログ運営者と同名義の口座が必要です。

3つ目のブログで取り扱うメインテーマ設定はアフィリエイトで効率的に収益を上げるために、そしてブログ運営を継続させるための道標となります。

ブログ運営で報酬を得るためには読者の役に立つ情報を提供し、効果的に商品やサービスの紹介をする必要があります。特にブログのテーマとの親和性が重要になってきます。例えば書評ブログで本を紹介する、ゲーム攻略サイトでアプリの紹介をすることも違和感はありません。海外旅行記のサイトで英会話の教材を紹介するのも自然です。これが親和性の高さです。

猫写真ブログでいきなりクレジットカードの広告があったらどう感じますか?食べ歩きブログで化粧品の記事が掲載されたら読者は戸惑いますよね。

このようにブログのテーマと紹介したい商品の関係性は非常に重要です。ノンジャンルで様々なジャンルの記事を載せているブログも有りますが、効率的にアフィリエイトで成果を出すためにはジャンルを絞って親和性の高い商品を紹介した方が早く結果に繋がりやすい傾向があります。自分の知識や経験、得意分野を活用できるテーマを選択しましょう。

4つ目の「楽しさ」と5つ目の「継続力」はブログ運営を続けるにあたって、精神的に大切な要素となります。

ブログを開始してすぐに稼げるようになる人は一握りです。ほとんどの人は最初の数カ月は無報酬でブログを書き続けています。でも3ヶ月、半年、1年とブログ運営を続けることで、積み上げ式で報酬は伸びていきます。

大きく成果が出ている人、出し続けている人の特徴として、ブログ運営に「楽しさ」を感じている傾向が強いです。自分の好きなことを世界に発信しているという楽しさ、コメントやメールなどで読者から感想をいただくことによる自分の発信が読者の役に立っている実感、ブログ運営者同士の交流、自分の知識が増えることに対する喜び、純粋にお金を稼ぐことが嬉しい。

「楽しさ」の基準は人によって違いますが、ブログ運営自体になにかしらのモチベーションを見出すことで継続の手助けになります。結果として「稼ぐ」ことに繋がるわけです。

ブログを始めるためには、スクールに通ったり、高額の教材を購入したりと、お金が必要だと思っている人も居るかもしれません。ですが、それは大きな誤解です。

無料ブログでスタートするのであれば金銭的負担はゼロ円で開始できます。かかるのは自分の時間的コストのみです。独自ドメイン+レンタルサーバー+WordPressの組み合わせでも、かかるコストは年間1万円程度です。ブログ運営自体はお金に関するリスクは著しく低い仕組みですから、いくら失敗しても再起が簡単にできます。

自分の出来る範囲内で頭と体を使う。そして報酬が伸びてきたら、アクセスや収益増加のために効率的に投資する。このサイクルを意識しておくことで、無駄なお金を使うことなく堅実なブログ運営が可能になります。

なお、以下の4つのブログをくまなく読んでおくことで、充分すぎる知識は得られます。このステップを経て、それでも知識が足りないと感じたら書籍を買う、セミナーに行くなどのコストをかける行動に移しましょう。

クロネのブログ講座
ひつじアフィリエイト
クロネコ屋の超ブログ術
ルカルカアフィリエイト

クラウドソーシングを利用したスキル活用型副業

クラウドソーシングとは、近年、新しい仕事の受発注の仕組みとして注目されています。仕事を発注したい企業や個人(発注者)と、仕事を受注したい企業や個人(受注者)とを、インターネット上でマッチングさせるシステムです。

発注者は「幅広い希望者の中から最適なスキルを持った人材に仕事を依頼できる」、「必要なタイミングで仕事を依頼できるので、人件費を削減できる」、「納期が迫っている仕事の分散が可能」といったメリットが有り、受注者は「好きな時間、好きな場所で働くことができる」、「自分の得意な仕事を選ぶことができる」、「自分の希望する報酬の仕事を選ぶことができる」といったメリットがあります。

この記事を読んでいるみなさんは受注者側の立場になる場合が多いと思います。自分の得意分野で、好きな時間、好きな場所で、希望の報酬を受け取ることができる仕事が得られるということは、自由になる時間が限られている会社員にとって効率的に副業に取り組めるサービスでもあります。

前項で紹介したブログ副業と大きく違うのは、「成果物を納品すれば必ず報酬が得られる」という点です。ブログ副業は自由度が高い分、結果の現れ方も個人差があります。クラウドソーシングの場合は受注時にあらかじめ報酬額が提示されていますので、収益計画が立てやすいという特徴があります。

クラウドソーシングを活用した副業をおこなう場合は、サービス提供会社に登録する必要があります。国内には数多くのサービス提供会社がありますが、本項では国内最大級の2社をご紹介します。

クラウドワークス
ランサーズ

サイトにアクセスしてもらうとわかると思いますが、「システム開発・運用」「Web制作・Webデザイン」「デザイン」「ライティング」「翻訳」など、数多くの仕事が登録されています。この中から自分の希望に沿った仕事を探し、受注依頼を提出し、発注者があなたのスキルや実績を見て判断し、仕事がマッチングされるわけです。

とはいえ、すべての人が最初から望む仕事や、高額の報酬を得られるとは限りません。世間的に需要が大きいスキルを保有している人は満足する金額を得られるかもしれませんが、誰でもこなせるような単純作業では報酬額が低く設定されていることがほとんどです。それでも希望者が多い場合は、受注者同士で仕事を取り合う事態も発生します。

クラウドソーシングで稼ぐために必要な要素は3つあります。

それは「技術力」と「実績」と「交渉力」です。技術力(ライターの場合は文章スキル)が高ければそれだけレベルの高い成果物が期待できます。結果として報酬が高くなります。

実績が多ければ、発注者は安心して仕事をお願いすることができます。結果として、仕事の量が増えます。

そして忘れてはならないのが交渉力です。確かにクラウドソーシングはインターネット上のシステムですから、発注者と顔を合わせる必要はありません。提示された条件で粛々と仕事を納品するだけでも構いません。しかしながら、技術力と実績があれば、単価アップの交渉も十分に可能です。単価が1.5倍になれば、同じ仕事量でも報酬が1.5倍になります。この差は非常に大きいです。

この3つの能力を磨いておけば、クラウドソーシングの仕組みを使わなくても、直接取引で仕事を得ることも可能になります。ランサーズなどのプラットフォームを利用する場合は、発注者側からシステム提供会社に手数料が支払われています。直接、仕事を受けることで、それらの費用も上乗せしてもらうことも可能なわけです。

もちろんサービス提供会社は報酬不払いなどのトラブルを防ぐために、利用者保護のさまざまな仕組みも提供しています。クラウドソーシングに慣れてきたら、メリットとリスクを天秤にかけて、自分に最適な請負方法も検討しましょう。

フリーライターとして書籍も執筆されている利倉夏実さんのクラウドソーシング活用術をまとめた書籍も紹介しておきます。

Kindleやnoteなどプラットフォームを利用した作品の販売

旧来、自分の作品を販売するためには紙に印刷し、その冊子を販売することが一般的でした、もちろん今でもコミックマーケットを筆頭に同人誌等の販売をおこなう人も存在します。

ただ、ここ数年の技術発展によって、わざわざ紙に印刷することなく、インターネット上で作品を販売することが可能になっています。その代表格がAmazon Kindleを中心とした電子書籍と、noteというプラットフォームを通じた文章やイラスト・写真、音声や動画の販売です。

当然ながら文章を書いたり、イラストを描いたり、写真を撮ったり、動画を収録して編集したりするには手間と時間がかかります。しかしながら、それ以外の印刷費用やパッケージ費用などの経費をかけることなく、自分の作品を世界に向けて販売できる時代になりました。Amazonやnoteは商品が売れた時点で手数料を引きますので、金銭的リスクはほぼゼロでビジネスを始めることが可能なのです。

Amazon Kindleを利用して電子書籍を出版しよう

公益社団法人全国出版業界が発表した2017年の出版市場データは、紙+電子で4.2%減の1兆5,916億円、紙は6.9%減、電子は16.0%増となりました。出版業界全体は縮小していますが、紙市場は6.9%減の1兆3,701億円の一方、電子書籍市場は16.0%増の2,215億円、コミック17.2%増の1,711億円、書籍12.4%増の290億円、雑誌12.0%増の214億円となりました。

2017年の出版市場発表/公益社団法人全国出版協会

出版というと一部の作家のものと思われがちですが、電子書籍は誰もが自分の作品を発表できる場所になっています。国内で利用できる電子書籍ストアはAmazonのKindle、楽天のKobo、ソニーのReaderが代表的ですが、この記事では最大手であるAmazon Kindleについて解説します。

Kindle ダイレクト・パブリッシング

Amazon Kindleストア提供している出版サービスで、誰でも無料でAmazon Kindle規格の電子書籍を出版することができるサービスです。原稿や表紙など、出版に必要なデータが全て揃っていれば数分で登録可能で、登録された書籍は48時間以内に世界各国の Kindle ストアで購入可能になります。

出版というと小説やビジネス書のように文字メインの書籍と思われがちですが、写真集的な内容でも、コミックスでも登録することができます。

Kindle ダイレクト・パブリッシングを利用するメリットは大きく3つあります。一つはロイヤリティ(印税)の高さ、二つ目は文字量が少なくても出版できる、最後の一つは出版による自分自身のプロモーションに繋げられることです。

まずロイヤリティの高さですが、Amazonの指定する利用要件を満たすことで最大70%の印税を得ることが可能です。一般的な紙の書籍の印税平均が8%程度ですから、9倍もの報酬を得ることが可能です。

二つ目の文字量についてですが、一般的な紙の書籍の場合、10万字近い文字量が必要になります。もちろん紙の書籍が電子化された場合は同量の文字数になりますが、電子書籍だけで提供されている書籍の場合、1万字程度の文字量で、99円程度の安価で販売されているものもあります。1万字程度であればブログ記事を再編集して電子書籍化することも十分可能で、数多くの電子書籍を販売することも可能になります。

三つ目の自分自身のプロモーションですが、セルフブランディングという言葉にも置き換えられます。出版社を通していない自己出版とはいえ、Amazonというプラットフォームに自分の著書が掲載されるというのは世間的に見たら凄いことです。なぜなら、書籍に使っているキーワード(書籍名や紹介文)に気をつけるだけで、村上春樹氏やD・カーネギー氏など、ベストセラー作家と同列に表示される可能性があるからです。一般書店では絶対にありえないことです。

また、自分のやっている業務と関連した電子書籍を出版することにより、自分の事業の集客手段として利用することもできます。例えばブログ運営に関する電子書籍を安価で販売し、その内容に共感した読者が問い合わせできるよう連絡先も掲載し、個人指導に繋げるという流れです。

出版を単なる収益源だけと捉えずに、自分のビジネス全体に好影響を及ぼす工夫をすることで、事業の多角化を図ることができます。

noteで作品(ノウハウ、物語、エッセイ、漫画、音声等)を売ってみよう

noteとは、文章や写真、イラスト、音声、動画など、自分の作品を通常のブログやSNSなどと同様に無料で公開したり、有料コンテンツとして販売したりすることも可能になっているプラットフォームです。

note

単体の有料コンテンツを販売する場合、販売価格の約85%(複数の有料コンテンツのまとめ売りは75%)を報酬として受け取ることができます。

もちろん、ただコンテンツを提供しただけで売れるわけではありません。読者に「お金を出してでも続きを読みたい!」と感じてもらえる情報を提供する必要があります。ブログやSNSを併用して、有料コンテンツを紹介しても良いでしょう。あなたの信頼度が高く、内容が充実していれば、note購入者が自分の意志で拡散してくれることもあります。その積み重ねが収益に繋がっていきます。

noteの始め方についてはこちらのブログ記事がまとまっているので参考にしてください。

noteの始め方マニュアル

オンラインサロンを中心としたコミュニティ運営

これからの時代、本業も副業も、自分を中心としたコミュニティを構築・維持していくことがビジネスを優位に展開するにあたって非常に重要な要素となります。なぜ重要な要素になるのかというと、好景気不景気関係ない強いビジネスモデルを創り出すことができるからですが、これに関しては後述するとして、まずはコミュニティについて解説します。

コミュニティという言葉を聞いたことはあっても、具体的なイメージが沸かないと思いますが、要は自分を中心(リーダー)としたグループを意味します。

私が運営している発信者養成のためのオンラインサロンもコミュニティの一種ですが、オンラインサロン=コミュニティという狭い世界の話ではありません。コミュニティの一部にオンラインサロンという仕組みがあるだけで、地域のフットサルサークルであっても、複業をテーマにした勉強会であっても、メールマガジンの登録であっても、もっといえばブログの読者であってもコミュニティです。

リーダーと言っても堅苦しいものではなく、一歩先を行く先輩というイメージです。そして全能である必要もありません。私はブログ運営やネットマーケティング、出版、複業などの分野に関しては専門知識を有していますが、イラストが必要な場合は他の人がリーダー担ってもいいと思っています。私の得意分野ではないスキルが持っている人は、それだけで(私にとっては)リーダーとなる資質があるわけです。

なお、メンバーとはリーダーの理念に共感した、学びたい、仲良くなりたい、理由はなんでも構いませんが、一つの目標に向かって一緒に歩いている「仲間」と認識していただければと思います。

コミュニティを構築し維持するための5つのステップ

1.自分のコミュニティの理念や目指す場所を明示する

コミュニティを創るにあたって最初に行うことは、自分のコミュニティのメッセージを分かりやすく明確に提示することです。提示したメッセージが明確であればあるほど、共感してくれる仲間が集まります。

ここで言うメッセージとは「参加者に対して、自分だけが約束できる価値の提案」を指します。提供できる得意分野や独自性と言い換えても良いでしょう。ライバルが真似できない、あなただけの価値を提案することができればライバルの動向を恐れる必要が無くなります。

商品やサービスが競合してしまうのであれば、購入後のフォローやサポートを充実させるなどのサービスで差別化を図るという考え方もあります。「なぜ、あなたのコミュニティに参加することが最善なのか?」を訴えていくことができれば、読者の参加意欲を高めることができます。「ナンバーワンよりオンリーワン」という歌詞がありましたが、ビジネスの世界ではオンリーワンであることが最も重要なポイントとなります。

なお、価値の定義については次の記事で詳しく解説します。

2.あなたの提唱するメッセージに共感してくれた人にコミュニティ参加を促す

あなたのメッセージを世界に向けて発信しましょう。あなたのブログやSNS、イベントなどで情報を公開することがStep.2に該当します。

とはいっても、最初から共感してくれる仲間が現れるわけではありません。コンテンツ(実現させたい世界観や、経験に基づくノウハウなど)を充実させたり、イベントを開催したりしてあなたのことを知ってもらうための窓口を広げましょう。友人を紹介してもらうことも良いでしょう。

Spep.2については、とにかくあなたのメッセージが届くまでがんばれとしか言えないのですが、ブログやSNSを毎日更新したり、さまざまなイベントに足を運んで交流を図ったりすることで、あなたのメッセージに共感してくれる人に出会うことができます。1人が2人、2人が4人、4人が8人と、少しずつで構わないので、一緒に歩んでくれる仲間を増やしていきましょう。

3.メンバーにとって居心地の良い場の提供し続ける

旧来であればメールマガジン等で、定期的なフォローを行うことでメンバーの満足度を向上させることができます。現在はFacebookグループなどを活用したオンラインサロンでも良いですし、LINE@などのコミュニケーションツールを使っても良いでしょう。

フォローとはいっても単なる挨拶や現状報告ではなく、意味のある情報提供を心がけなければいけません。マーケティングを取り扱うコミュニティであれば、マーケティングに関連する情報を載せる必要があります。美容のコミュニティであれば、季節ごとの肌のお手入れ方法を載せてあげる必要があります。

さらに参加してもらったメンバーに対して、困ったことはないかといった気遣いも忘れてはいけません。コミュニティに入ってくれたメンバーは、ブログの読者と比べて一段高いロイヤリティを持っているわけですから、参加者限定イベントなど特別感のある提案もおこないましょう。直接顔を合わせてメンバーの声を聞ける機会は貴重ですので、多少のコストは意味のある経費だと考え、感謝の意味を込めて勉強会や交流会等のイベントを企画しても良いでしょう。

あなたのコミュニティの居心地が良ければ、自分が成長しているという実感があれば、メンバーはずっと滞在してくれるのです。

3.お金を使ってもらうポイントを作成し、サービスを継続する基盤を固める

メンバーとあなたとの関係性が充分強まったところで、新しい商品さサービスを紹介し始めても良いでしょう。ワンランク上のサービスや、個人にカスタマイズされた専門的な勉強会など、メンバーが興味を抱く提案を適度におこなうことで売上を伸ばすことができます。

ビジネス側で考えるコミュニティ運営の最大のメリットは「損失を出すリスクと機会損失するリスクを同時に解決できる」という点です。

事例として株を買うという行為で説明します。

投資をおこなっている人はイメージしやすいと思いますが、何か行動を起こすと必ず損失リスクが発生します。市場調査や企業調査をおこなうことでリスクを極限まで下げることは可能です。しかしながら株は生き物です。株を買った時点で、価格の下落リスクは必ず発生するわけです。

逆に、株式チャートをただ見ているだけの場合、行動は伴いません。したがって価格下落による損失リスクはゼロです。ただし、もしかしたら株価が上昇した際に発生する利益を逃している可能性もあります。これが機会損失のリスクです。

従来のマーケティング手法ではこの2つのリスク回避を同時におこなうことは不可能でした。動けば損失リスクは必ず発生しますし、動かなければ機会損失リスクが必ず発生するわけです。損失リスクと機会損失リスクはトレード・オフの関係で、あちらを立てればこちらが立たずという状況になります。一般的なビジネスはこのリスクバランスを落ち着かせるためにマーケティングという名の市場調査をするわけです。

いくら長い月日に研究を費やしても、新商品が売れるかどうかは市場に投下してみないとわからないのです。

しかしながら、強固なコミュニティを構築してさえいればこの両方のリスクを同時に回避することができます。
 
コミュニティ内のリーダーとメンバーの関係は、売り手と買い手ではありません。同じ方向に向かって一緒に歩む仲間です。リーダーが理念を語り、一つ上のステージに行くために必要な情報(商品)を提供することで、みんなで成長できて楽しいという「場」を生み出すことができます。だからこそ一緒に成長するために必要なもの(商品)を提示するだけで、共感してくれるメンバーは買ってくれます。課金ポイントをどこに設定するかだけの話です。もちろん無料で情報提供するだけでも構いません。その場が居心地良ければ仲間は残りますし、悪ければ去っていくだけの話です。

コミュニティを上手に運営するポイントは、最初から収益を求め過ぎない事に尽きます。あなたの持っている価値をあなたの理念に共感してくれる仲間に全力で提供することで、仲間の未来がより良くなる。その結果として、仲間はあなたのことを更に信頼して付いてきてくれるのです。

信頼関係が生まれる前、充分な価値が提供できていない前に収益を求めすぎると、仲間は見限って離れていってしまいます。幸いにもオンラインサロンなどインターネットを活用したコミュニティ運営は、かかるコストが著しく低いわけですから、収益の最大化は急がなくても問題ありません。じっくりと仲間に楽しんでもらえる「場」を生み出すことに注力しましょう。信頼関係が結ばれていれば、喜んでお金を払ってくれます。

仲間からお金を取るのは難しい、あってはならないことだと思う人もいるかも知れません。それは大きな間違いです。ある程度の資金がなければコミュニティを維持することはできません。過度な搾取は問題ですが、適正な利益を得ることはビジネスを継続させていくために必要な行為です。資金不足というつまらない理由で、有益なコミュニティを閉鎖してしまうことこそ、参加者に対しての裏切りです。

4.入退会の流動性を受け入れる

今まで解説した通り、コミュニティを創って、維持していくためにはいくつかのステップを経る必要があります。別にステップを経なくてもコミュニティを創ること自体は簡単です。でも長続きしないんです。人が集まってこなくて、継続する気持ちが折れてしまうから。

ではなぜ人が集まってこないのでしょうか。

それは「ありきたりで」「告知が弱くて」「環境を維持できない」からです。どこにでもある内容で、恥ずかしがってメッセージを発しないで、すぐネタ切れして放置状態になっていたら、そもそも人は集まりませんし、勢いで入ったとしてもメンバーは失望してどんどん去っていくわけです。

僕は入会者の人数よりも、退会者の人数を気にしています。入会者を増やすのは、告知やサービスを増やしていけばいいわけで、意外と単純なんです。でも退会者が増えるというのは、運営に対して不満が増えているということです。

マンネリで飽きたのかもしれませんし、対応がぞんざいになっているのかもしれません。原因は複数に及び、なおかつ退会していく人は本心を言ってくれないので、察して対応を考えなければいけません。

なお、メンバーが減る=収益が減るという状況になったとしても、退会希望者を引き止めてはいけません。メンバーはいつまでも同じ環境、能力ではありません。不満を持って退会するネガティブな原因は改善しなければいけませんが、メンバーが成長してポジティブな意思で卒業していくのは喜んで見送りましょう。

コミュニティに依存させてはいけません。出口を閉じれば閉じるほど宗教的になっていきます。一定数の新陳代謝は、健全なコミュニティ運営には必要な要素です。

もちろん再入会を希望するメンバーが居れば、暖かく迎え入れましょう。

オンラインサロンを有効活用する

僕の運営するオンラインサロンである、「情報発信者コミュニティ ギガ盛りブログ飯」は毎月のイベント(セミナー)をメインコンテンツとして、サポートの一部としてFacebookグループを活用したオンラインでの交流を図っています。リアルイベントは開催せず、オンライン上だけの交流で完結しているコミュニティもあります。

オンラインサロンのメリットは、インターネット環境さえあれば、どの地域に住んでいる人でも、自分の好きな時間に関わることができることです。イベントもFacebookライブ機能を使えば、オンライン中継が可能です。

有料コミュニティを運営するにおいて、一番手間であり重要な要素は入退会管理(課金)です。銀行振込対応で自ら管理するのも良いですが、企業の提供するプラットフォームを利用することも一つの方法です。私は管理が好きではないし、毎月の入金チェックする時間があったら、コミュニティのコンテンツを一つでも増やしたいので、DMMオンラインサロンのサービスを利用しています。

DMMオンラインサロンの他に、CAMPFIREファンクラブというサービスもあります。決済手数料やサポート内容がそれぞれ違うので、自分にマッチしているサービスを選択肢ましょう。

DMMオンラインサロン
CAMPFIREファンクラブ

オンラインショップを運営しよう

オンラインショップの運営という副業スタイルもあります。

オンラインショップの運営というと商品を仕入れて、販売し、差額を利益として得るというイメージが強いですが、自分の作った一点物のアクセサリーを販売したり、自分がデザインしたTシャツを受注販売したりすることも立派なオンラインショップ運営です。

楽天市場のような大型ショッピングモールに出店して組織的に運営する人も居れば、安価な決済システムを導入して自分一人でひっそりと運営している人もいます。どちらが良い悪いはありませんが、副業として考えるのであれば、自分ひとりで運営できる規模感で始めることをお薦めします。

インターネットの世界では別に勝ち抜く必要なんてありません。自分の得意分野で生き残っていればそれだけで充分なんです。自分の商品を必要としてくれるお客様に見つけてもらい、リピーターになってもらうことで安定した収益を得ることも可能です。

いまの世の中は二極化が進行しています。

ごく一部の売れる商品と、まったく売れない商品の二極化。人が集まる場所と、閑散としている場所の二極化。収益を上げられるショップと、赤字ですぐに撤退していくショップの二極化。さらに、無料化や低価格化が一般化しています。昔は高価だったものでも、現在では無料に等しくなっている商品やサービスが数多くあります。

たとえば高価なカーナビゲーションシステムと同等の機能は無料のGoogle Mapで代用できます。カーナビを売るにはGoogle Mapにはない価値を提供しなければならない時代になっています。このように、時代は大きく変わっています。高コスト体質では変化する時代に柔軟に対応できないのです。

実店舗でもネットショップでも根底に流れる「商売の原理」は一緒です。物が売れる仕組みもシンプルです。

商品欲しがっている人を「集客」し、「購買の意味付け」をしてあげることで商品の購入に繋がります。商品にはお客様の心に響く「メッセージ」が必要です。収益を向上させるには、「購入単価を上げる」か「購入頻度を上げる」ことが重要になります。購入単価や頻度を上げるためには、お客様との信頼関係を構築し、「ファン」になってもらう必要があります。ブログでの集客経験やコミュニティ運営の知識があれば、オンラインショップの運営も十分に可能なのです。

今の時代、提供されてる商品やサービスってみんな良いんです。粗悪品を見つけ出す方が難しいぐらいです。でも、いくら良い製品を生み出しても、その情報がお客様に届いていなければ存在していないのと一緒です。お客様の気持ちを動かすぐらいの便益性を伝えるか、心が動くような物語性を付与するか、あなた自身がカリスマになるか、なにかしらの工夫が必要なんです。

  • あなたの店でしか買えない商品を生み出してください
  • 商品の差別化が難しいのであれば、サービスやサポートで差別化してください
  • あなた自身の独創性が高ければ、それだけで差別化です
  • 自分がリーダーになって、仲間(お客様)をより良い世界(環境)に連れて行きましょう
  • 一つだけの分野で戦わず、複数の得意分野の組み合わせで生き残りましょう

僕は、自分で商品を作って、自分で売れるスキルを持っている人が最強だと思っています。

誰かの商品を仕入れる場合はどうしても原価率が高くなります。自分で商品やサービスを生み出すことで、利益率を極限まで上げられるからです。利益率が低いビジネスは体力的にも精神的にも疲弊しか生み出しません。複業を成立させるためには、効率化と資金の余裕は必須条件になります。

初期費用無料のネットショップサービス

先ほど、高コスト体質になってはいけないということを書きました。ブログ運営でも一緒のことを書きましたが、無駄な運営費を使わないということは長くビジネスを続ける上で本当に重要です。

以下のオンラインショップサービスは初期費用無料で利用ができます。コストがかかるのは決済手数料やオプション機能を利用した場合のみですから、低コストでの運用が可能です。浮いた予算を集客や商品開発に活用しましょう。

無料ネットショップ開業【BASE】

驚くほど簡単にオンラインストアが作れる!【STORES.jp】

ハンドメイド商品に特化したショッピングプレイス

アクセサリーなどの自分の作品を販売する場合、商品を欲しがるお客様が集まる場所に出店することも効果的です。

minneやCreemaといったデザイナーやクリエイターの手作り商品が集まるショッピングプレイスには、ハンドメイド商品を好むお客様が常にクリエイターの新しい商品を待っています。

minne

Creema

価格設定の重要性

僕はこれまで数多くの事業主と話してきましたが、みんなサービスの値付けに困っているという共通の悩みがあります。

  • こんな高い価格にして売れるのだろうか?
  • 私レベルの技術力・商品力で、こんな価格を提示して良いんだろうか?
  • 安くし過ぎて消耗したらどうしよう

多くがこんな悩みです。僕もそうでした、というか今でもそうです。

値決めって難しいんです。安ければ良いというものではありません。いくら安くても必要とされない商品は売れません。逆に高価でも納品まで数ヶ月待ちという商品も存在します。現代は売れる商品と売れない商品の二極化が進んでいます。確かに「安ければ安いほど良い」という消費者も存在します。

しかし、理念に共感し、商品の品質に満足していただいているお客さまにとって、価格はさほど大きな障壁ではありません。

だからといって適当に商品の値段を決めるわけにはいきません。しっかりとした信念を持って、お客様からも納得を得られる値段を設定しましょう。

購入者の利益の最大化が大前提で、その上で自分の利益を追求する

値段を決める際に一番注意しておきたいポイントが、お客様の利益が最大限になるよう設定するということです。自分が儲けたいからという気持ちで値段を決めてはいけません

もちろん、ただ単に値段を安くしろと言っているわけではありません。値段が高くても、商品を使うことによってお客様の利益が最大化すれば良いわけです。

ブランドや宝飾品などはまさにこの典型で、価格以上の価値をお客様に提供しています。それは商品の品質かもしれないですし、ブランドを持っているというお客様の自己重要感かもしれません。人気ブランドはこれらの要素を究極的に高めているからこそ、お客様は高価でも納得して購入するのです。ブランドの正規店が値引きをしない理由は、提供する商品の価値を守っているからなのです。

では適正価格を決めていくにはどうしたらよいのでしょうか。考え方のヒントとして2パターンあります。

まず1つ目は原価から逆算するパターンです。

商品の単純な原価はもちろんですが、人件費や家賃、広告費、商品開発費、カード決済手数料、サービス利用費などの想定される販売管理費を上乗せし、最後に利益をプラスする方法です。

ニッチな商品でライバルが少ないが顧客の数も少ない、しかしながらその商品を求める熱狂的なファンがほとんどなのであれば、利益率を上げて一回の販売における利益額を大きくする必要があります。

逆に類似品を取り扱うショップも多く、顧客数も多い商品なのであれば、ライバル店に価格競争で大きく引き離されない程度の利益率を設定する必要があります。いくら他店とは違う価値を付与したとしても、商品自体の価格帯がかけ離れていたら勝負になりませんのでバランスを取りながら価格設定をする必要があります。

2つ目のパターンは、あなたの判断で商品の価値を決めてしまうやり方です。副業として考えるならば、私はこちらの方法を推奨します。

それは「この商品は5万円」と信念と覚悟を持って決めてしまうのです。あなたのショップでしか買えないといったオリジナリティの高い商品を取り扱っている、あるいはコミュニティがある程度強固になってから使う考え方です。

お客様はあなたの理念に賛同しており、自分のことをより良くしてくれる可能性のある商品だと思えば値段に関係なく購入します。この価格の決め方はお客様の満足度を高い位置で維持していく必要がありますが、強固なコミュニティが形成されたかどうかの一つの指標となりますので、機会があればぜひ試験的に導入してみてください。

値下げをせずに再生したテーマパークの事例

オンラインショップとは直接的に関係ないのですが、値付けの考え方として面白い事例があるのでご紹介します。

長崎県にハウステンボスというテーマパークがあります。ご存知ですよね。

ハウステンボスは2003年に会社更生法を申請し経営破綻したテーマパークですが、2010年にエイチ・アイ・エス(H.I.S.)による支援が開始すると、独創性に溢れた改革で一気に経営状況がV字回復した企業です。

そもそもハウステンボスは開園以来18年間ずっと赤字が続き、誰もが立て直すことができなかったテーマパークでした。この巨大な施設をたった一年で黒字転換させたのは巨額の費用をかけたリニューアルでも新アトラクションの投入でもありません。

もともと存在するアトラクションにコンセプトやキャッチフレーズを与え、それを効果的にお客様に明示してハウステンボスに来る理由を発信し続けたのです。

具体的に使っていたキャッチフレーズがこちら

  • 世界最大級のイルミネーション
  • 九州一の花火大会
  • 100万本のバラ園

そして、さびれてしまい怖かった施設をそのまま再利用し、世界最大級のホラータウンにリニューアルして人気アトラクションへ変貌を遂げています。

ハウステンボスで遊ぶためのチケットは決して安い金額ではありません。それでもお客様が喜んでリピートするということは、ハウステンボス自体の価値が大きく向上したからです。もちろん経営陣やスタッフの努力など細かい部分の改善もあったと思います。ただ、コンセプトを設定し、楽しい場を提供していれば価格が多少高くてもお客様は集まってくるという好事例です。

東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンも同様です。どんどん値上げしていることに気づきませんか。それは自分たちが提供している場(商品やサービス)の価値に自信があるからです。

これは僕の妄想かもしれませんが、「値上げをしたことによって、来場者数が減っても良い」と思ってるのではないかという雰囲気も感じます。人気テーマパークは常に過密状態です。一つのアトラクションに載るのに2時間待ちなんて当たり前です。でも、値上げすることによって行列時間が減ったら、来場者の満足度は上がります。来場できなくなった人の満足度は下がるかもしれませんが。

乱暴な単純計算ですが

フリーパス5,000円 x 来場者100万人
フリーパス10,000円 x 来場者50万人

であれば、営業数値的には一緒です(レストランやおみやげの売上とかは考慮に入れていません)。おそらく、この掛け算+α(レストラン代)の数値が最大値になるまで値上げし続けるでしょう。

何が言いたいかというと、独自性の高い価値を提供しているのであれば、値付けは自由だということです。安いことが正義ではありません。その辺り考えながら、商品の値段を考えることをお薦めします。

面白いオンラインショップ事例

いままでオンラインショップ運営の概念をつらつらと書いてきましたが、2つほど面白い事例をご紹介します。世界観とアイディアさえあれば高い利益率でも勝負ができるという好例です。

ビーズキット・作家アクセサリーキット通販「ビーズマニア」

ビーズキットを販売しているオンラインショップです。このショップの大きな特徴は、「完成品を販売しているわけではない」という点です。

販売している商品は、キットを作成するためのビーズと作り方が書いてあるレシピ図が入っている材料セットです。購入者にビーズキットの世界観を伝え、手作りしてもらう楽しさを売っているのです。原価はビーズ代金と紙一枚です。手芸店でビーズを買ったことがある人だったら、どれだけの利益率になるのか想像できると思いますが、おそらく9割は利益でしょう。

実はレシピ図も無料公開されています。

それなのになぜ高いお金を出して買うのかと言うと、キット作成のためのビーズを揃えるのが面倒だからです。ビーズは2~3個では売っておらず、自分で揃えようとすると使わないビーズが溢れかえるわけです。それを必要な量だけ分類して商品にしているところに価値を生み出しているわけです。

sand beach art

上記URLの通販サイトの検索バーに「sand beach art」と入力して、商品検索してみてください。驚くような商品が展開されています。

まさにサンドビーチアート。砂浜に文字を書いて写真を撮っているだけの商品が数千円で販売されているんです。結婚式など、イベントで使うお客様が多いそうですが、原価は0円、なおかつ受注販売、家の近くに美しいビーチがあるだけでビジネスが展開できるわけです。

アイディアに溢れたショップを運営するための心構え

「ビジネスはこうあるべきだ」という理念や、「苦労してお金は稼ぐべきだ」という労働に対する美学は大切です。しかしながら、少し頭を柔らかく考えると、世界にはいろいろな商売の種が転がっているのです。

そんな中で、柔軟なビジネスを展開するための考え方が2つあります。一つ目は、「自分で価値を決めない」ということ、二つ目は「好きなモノ、好きだと思えるサービスを取り扱う」ということです。

自分では価値がない、どうでもいい商品と思っていても、欲しがる人は居るということを意識しておきましょう。店舗型ビジネスであれば商圏は半径500メートルといった距離的な制約がありますが、インターネットで発信される情報は全世界に届きます。国内1億2000万人、世界70億人の価値観は1億2000万通り、70億通りあるのです。

さらに自分の好きなことに取り組みましょう。

商品を売るためには確かに世間のニーズを探ることは重要です。でも「好き」から生まれる熱量が加わることで作品や商品に魅力が付与されるわけです。そして好きなことは継続できます。お金を稼ぎたいというだけのモチベーションでは、毎日のように砂浜に文字は書けません。自分の商品が、世界の何処かの結婚式で喜びを与えているというプライドを持っているからこそ、毎日、砂に絵を描けるのです。

動画配信による副業

一時期、HIKAKINさんやはじめしゃちょーさんなど、著名YouTuberの活躍により、動画配信による副業が注目されました。

Googleも「好きなことで、生きていく」というキャッチフレーズのテレビコマーシャルを放映し、小学生が将来なりたい職業トップ10にラインクインするなどの動画ブームが巻き起こったのは記憶にあたらしいところです。

YouTubeで収益を上げる仕組みは、ブログの項目で解説したGoogle AdSenseと同様の形になっています。動画を見に来た視聴者に広告を配信することにより、その表示回数やクリック回数に応じて、配信者が収益を得られるプログラムです。

しかしながら、2018年2月に潮目は変わりました。

厳しくなったYouTuberの道

従来は規約に則って動画配信していれば、ほとんどの配信者は収益化プログラムを利用することができましたが、2018年2月にGoogleがYouTubeの収益化条件を変更したのです。

YouTube パートナープログラムを利用できる条件として、自分のYouTubeチャンネルの過去 12 か月間の総再生時間が4,000 時間、チャンネル登録者が 1,000 人に到達しないと収益化できなくなってしまったのです。

YouTube パートナー プログラムの概要

この規約変更によって、人気YouTuberはそのままプログラムを利用できますが、初心者~中級者レベルのYouTuberのほとんどが収益化できなくなってしまったわけです。一つのプラットフォームに収益を依存していると、ルール変更があった際に大きなダメージを負ってしまう事例にもなっています。

もちろん利用条件を目指して動画を配信し続けるユーザーもいますが、手軽に副業としてトライできる仕組みでは無くなってしまったかもしれません。

世界一やさしい ブログ×YouTubeの教科書1年生

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染谷 昌利, 木村 博史
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YouTube配信にチャレンジしたい!という方は上記の本を読んでみてくださいね(宣伝)。

SHOWROOMを代表としたギフティング副業

YouTubeの収益化規約の厳格化に反して、新しい動画配信システムが台頭してきています。代表的なサービスがSHOWROOM17Liveです。これらのサービスはインターネット空間上に仮想ライブ空間を作り、ライブの生配信ができる仕組みです。

サービス開始当初はアイドルなどの芸能人がファンと交流するために利用しているケースが多かったですが、最近では一般の人でも生配信をおこなっています。

ライブ配信サービスは配信者が視聴者からギフトをもらうことで、そのギフトのポイントに応じて収入が入るという仕組みになっています(ギフティングと呼ばれる仕組み)。視聴者は花束やぬいぐるみなどの課金アイテムを購入し、ステージに投げ込むことで、配信者はそのギフトの課金額に応じて報酬を得ることができます。

人気の配信者になれば一回の放送で何万円も収入を得ることができますが、こちらも配信を重ね、番組の質を向上させていくなど、積み重ねが大切です。

動画を活用した副業に関しては、動画自体で稼ぐということは難しくなっている印象です。とはいえ、動画が作れる能力は間違いなく役に立ちますし、世の中にも求められているので、スキルアップを主眼において取り組むのは非常に良い方向性だと思います。

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