コラム

こんなにもある副業の種類2 能力給型副業

染谷昌利

厳密にはこのような名称の副業は無いのですが、自分の経験やスキルを活用した副業という意味を込めて、便宜的に当サイトでは能力給型副業というジャンルを定義しています。

この能力給型副業は副業というよりも、兼業や複業(パラレルキャリア)という呼び方の方が適切かもしれません。本業の会社に勤務しつつ、月に数日間、他社で勤務するというスタイルで、今後、広まっていく働き方になるでしょう。

なぜ、この能力給型副業が今後広まっていくかと言うと、以下の5つのメリットが見込めるからです。

転職することなく他社の業務を経験できる

転職の理由は、希望している業務内容の不一致や人間関係の悪化、経営不振などネガティブな要素の場合が多いです。ただ、一方で仕事内容に不満はないものの、他の業務を経験したい、他社の業務内容やビジョンに関心があるといった、キャリアアップのために転職を検討している層も一定数存在します。

従来の勤務形態では、他社で働きたい場合は現職を退職し他社に入社する必要がありましたが、複業・兼業が解禁されることにより在籍中の会社を離職することなく、他社に所属して働くという選択肢が生まれます。

転職にはリスクがあります。実際に従事してみたら外側で見ていたイメージと違う、報酬が下がった、人間関係の再構築に苦労したなど、「こんなはずじゃなかった」というギャップがそうです。本業を継続しながら、他社に勤務することが可能になれば、労働者としては転職というリスクを負うことなく、外の環境を経験し、キャリアアップに繋げることができます。

人材の流出を防ぐことができる

1に連動する形ですが、会社側は優秀な人材を外部に流出することを防ぐことができます。自社の仕事だけでは満足できない意欲的な社員に対して、副業禁止の会社ではその希望を叶えることはできません。結果として、離職に繋がる可能性があります。

それが複業を認めることによって異分野の業務にチャレンジできる環境ができ、自社内で成果を出し続けてもらいながら、社員の満足度も維持することができます。

優秀な人を採用するチャンスが増える

複業採用を導入することによって、従来の制度では採用できなかった人材を雇うことも可能になります。フルタイムで働くことはできないが、貴重な技術を保有している人であれば、「週に2日だけ働いてもらう」というような形で就業してもらうこともできます。

複数の会社で経験を積みたいと考えている人は、本業での仕事にマンネリを感じている場合もあります。優秀な人であればあるほど新たな環境で学びたいのです。

知名度の低いベンチャー企業であろうとも、ビジョンが壮大であったり、尖った技術を保有していたり、求職者の心を掴むことができれば、従来採用できなかったレベルの人材を雇用することが可能な時代になったのです。

新たな経験を得た社員による相乗効果が見込める

複業経験者が社内に増えることにより、多様性が高まります。革新的なアイディアは画一的な場所からは生まれません。異分野の知識や体験が融合した時に、それまでなかったユニークな製品やサービスが生まれます。

商品やサービスだけでなく、社内に新しい価値観を持ち込んだり、他社の就業スタイルを参考にした働き方を検討したりと、既存社員の発想力・実行力だけでは難しかった改善に取り組める可能性も高まるはずです。

評価制度が変わる(柔軟になる)可能性が高まる

複業採用を取り入れる場合、「評価」や「報酬制度」の変更が最重要課題になります。従来型の週5日フルタイム勤務での正社員の評価制度では、複業採用者に対応できないからです。

「週2日勤務の場合、報酬は通常の2/5になります」という旧態依然とした評価方法で優秀な人材の心を動かすことができるでしょうか。もちろん報酬額がすべてではありませんが、「この会社で一緒に働きたい」と感じさせる制度を検討する必要があり、その制度ができることにより既存の社員のキャリアプランの多様化に繋がるはずです。

副業を容認する企業は増えてきましたが、複業勤務を希望する人を受け入れる準備が整っている会社はまだ多くありません。現在時点での代表的な複業勤務の採用制度は、サイボウズの複業採用ランサーズのタレント社員制度が挙げられます。

企業側も能力の高い人材を社内に留め、新しい風を吹き込んでくれる人材を採用するための工夫が求められる時代になりました。複業採用を推進する企業は増えてくることでしょう。

会社員として複数の企業に勤務する以外にも、能力給型副業として考えられる職種があります。例えばカメラマンや書籍の著者、翻訳者や講演家など、自分のスキルや知識、行動力次第で報酬を得ることが可能な職種も存在します。

一昔前はフリーランスの人間が仕事を探すことは大変でしたが、今ではランサーズやクラウドワークスを中心とした、クラウドソーシングサービスの普及により仕事を探すことが容易になりました。ブログやSNSでの自己発信も活発になっています。

自分が積極的に活動することにより、複業のきっかけはいくらでも見つかり、成果次第で大きな報酬を得られる時代に移行してきていることを認識しておきましょう。

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