みんなこっそり副業してる
複業新時代のはじまりというコラムで副業の現状について解説しましたが、副業(複業)を推進している企業はまだ多くありません。
では労働者側の意識はどうでしょうか?
日本最大級の転職支援サービスを運営しているエン・ジャパンが、2017年に公表した「副業」実態調査に興味深いデータが掲載されています。この調査は転職支援サービス『エン転職』上で、現在正社員で勤務する20~40代の5,584名から「副業」についてアンケート調査をおこなった結果になります。
調査結果の概要は以下のようになっています。
・88%の方が「副業に興味あり」。そのうち83%が「収入のため」。
・副業経験のある方は、33%。6割が接客系のアルバイトを経験。
・副業経験者が副業に費やしていた時間は「週に5時間未満」が過半数。月の収入額は「1~5万円未満」で半数を占める。
・現在も副業を続けている方は、38%。会社が副業禁止で止めたというコメントが多数。
・副業が解禁されている会社は19%、禁止されている会社は44%。
・副業をする際の難しさ、第1位は「時間管理」、次いで「確定申告などの事務作業」。
・副業を実現するために必要なスキルは「時間管理」「コミュニケーション能力」。
アンケート調査が転職支援サービス上ですから、回答者が「転職を意識している層」という点は考慮に入れておく必要がありますが、約9割の会社員が副業に興味があるということがわかります。
ただ、興味はありつつ副業経験のある人は約3割という数値に留まっている点も気になります。この3割を具体的に分類すると、という比率になっています。6割が副業=アルバイトという認識で、アンケートモニターやネットオークションといった、お小遣い稼ぎ系が約3割となっています。
もちろん、これらの副業スタイルを否定するつもりはありません。しかしながら、テクノロジーが進化したことによって、従来の時給型の副業一辺倒の考えは変えていかなければなりません。
時間は有限です。お金を稼ぐために自分の時間を削っていく働き方では、心身ともに疲弊してしまいます。時間で稼ぐのではなく、自分の知識や経験を資産として積み上げていく、あるいは投資活動などでお金に働いてもらう副業スタイルを身につけることで、金銭面も身体面も豊かにすることは可能です。
もう一つ、独自調査したデータがあります。
このデータは私のTwitterで集めたアンケート結果で、636票の回答を得ています。Twitterという、一つのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のプラットフォームでのデータなので多少の偏りはありますが、約6割の人が副業経験ありと回答しています。
エン・ジャパンのデータとの差異はなんでしょうか?
一つの要素として「インターネット上の回答」だという点が挙げられます。一般的な会社員よりもインターネットに関わっている傾向が強い層が回答していることにより、副業に関する捉え方も変わっているのだと考えています。
先ほど、「時間は有限です」ということを書きました。しかしながら、インターネットユーザーは限られた時間の中で、さまざまな方法で収益を得る方法を知っています。それは「自分の知識や経験をお金に変える」という技術です。
もちろん、インターネットを使ったからと言って、まったく手間がかからないというわけではありません。しかしながら、働く場所や時間を選ばず(自分で選択でき)、大きなリスクを背負わず、自分の得意分野を活かした形で収入が得られる方法は知っておいて損はありません。
時間や場所の拘束が緩いということは、複数の副業を同時におこなえるということです。これが本書の目指すところの「複業家」です。