こんなにもある副業の種類3 不動産や株式といった投資型副業
古くからある副業として「投資型副業」があります。
いわゆるお金に働いてもらって、利息や配当、家賃収入を得るスタイルの副業です。代表的な投資先は株式や不動産が挙げられます。最近ではFX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨投資も一般化してきています。とはいえ、FXや仮想通貨はまだ投機的要素が強く、ハイリスク・ハイリターンな投資(投機)方法になるので本書では割愛し、株式投資、不動産投資について解説します。
もちろん投資にはメリットだけでなく、リスクもあります。しかしデメリットやリスクは学びを深め、経験を積むことで減らすこともできます。
儲かりそうだから、みんながやっているからと仮想通貨取引に踏み込んで、大損した人も少なくありません。それはブームに煽られ、知識を得ないままお金をつぎ込んだ結果です。
本書では紙面の関係上、概要だけしか載せられませんが、本格的に投資を検討している人は必ず書籍などで理解度を高めてからチャレンジしましょう。
株式投資
株式投資とは、企業が発行する株式を購入することで、企業が出した利益の一部を株主に還元する「配当金」を得たり、株価上昇による「売却益」を得たりする投資方法です。
株式投資のメリット
・配当金・株主優待(インカムゲイン)が得られる
株式投資のメリットの一点目が、配当収入(インカムゲイン)が得られることが挙げられます。この配当収入は、株式を保有している期間はずっと得られます。
配当金は企業の業績により増減しますし、赤字の場合は無配当になる場合もありますが、日本の企業の多くは安定的な配当金を提供できるよう企業活動をおこなっています。配当利回り(配当金/株価)が高い企業が優良企業であるとは限りませんが、株主の利益を優先していることが伺えます。
また、株主優待という制度もあります。株主優待は株式公開しているすべての会社が設定しているわけではありませんが、株主に対して「自社製品の割引券や優待券」、「自社製品」などのサービスを提供しています。
なぜインカムゲインを第一に挙げたかと言うと、投資の神様であるウォーレン・バフェットの名言があるからです。
それは「In fact, when we own portions of outstanding businesses with outstanding managements, our favorite holding period is forever.(優れた経営陣が率いる傑出したビジネス(株式)を保有する場合、我々が望ましいと考える保有期間は”永遠”だ)」という言葉です。
もちろん配当金が重視されるアメリカ企業と配当性向(利益の内でどれだけ配当にまわしたかを示す数値)がそれほど高くない日本企業との違い、アメリカ経済の好調さと停滞している日本経済の差は考慮する必要はあります。ですが、大切なこととして、長期視点で応援できる企業の株を保有することを意識していただきたいのでインカムゲインを最優先にしています。
・売却益(キャピタルゲイン)が得られる
株式投資のメリットの二点目が、売却益(キャピタルゲイン)を得られることです。安値で買って高値で売るのは商売の基本ですが、株式でも同じことが言えます。
将来性の高そうな企業を見出し、株価の安いうちに購入し、業績が伸び株価が上がった時点で売却することが理想です。投資した株式の価格(株価)が、購入時よりも上昇することにより、その上昇した株式を売却することで売却益を得ることができます。
もちろん株価は業績や需要と供給のバランスによって上下しますが、どの企業も収益を伸ばすために経営しているわけですから、安定して業績を伸ばしている企業であれば株価は上昇していく傾向が強いです。
長期保有しながらタイミングを見て売却する投資家もいれば、デイトレード手法で一日のうちでの株価の変動を見通し、短期保有で売却益を狙う投資家もいます。ただ、短期保有の株式取引の場合、常に株価チャートをチェックしておく必要があり、副業としては難しいかもしれません。
・会社経営に参加できる
企業の株式を保有すると、株数に応じて議決権が与えられ、企業の意思決定に参加できます。株主総会に出席して、事業報告を受けられるほか、決議案について賛成・反対の意思を表明することができます。
株主総会では企業の運営報告や保有資産の活用方法など、企業の運営に関わる事項が決議されます。代表取締役の話を聞き、会社の方向性を確認することにより、その株式を保有し続けるべきかの判断材料になります。
他にも株式投資はインフレーションに強いなどのメリットが挙げられます。もっと詳しく学びたいという方はぜひ専門書を読んでみてください。
株式投資のリスク
・売却損(キャピタルロス)の可能性
株式投資にはもちろんメリットだけでなく、リスクも存在します。一番のリスクは売却損(キャピタルロス)が挙げられます。株式投資は元本が保証されるものではなく、株価上昇による売却益が見込める一方で、株価の値下がりしてしまうリスクもあるわけです。
・企業の倒産リスク
株式は企業の業績により価値が担保されます。株式を購入した企業が利益を着実に伸ばしていけば株の価値は向上します。逆に経営不振によって企業が倒産した場合は、株式の価値はゼロになります。要は投資した資金は戻ってこなくなります。これが株式投資の最大のリスクです。
・流動性リスク
株式投資の場合、株を売却したくても取引が成立せず、売りたいときに現金化できない可能性があることです。どうしても現金が必要になった場合、売値を下げて即座に売却しなければいけない状態になります。そうなると、期待していた利益を得られなくなってしまいますので、常に必要資金の状態に注意を払っておきましょう。
不動産投資
不動産投資とは、アパートやマンションなどを購入して家賃収入を得たり、購入した物件の価値が上がったときに売却し売却益を得たりする投資方法です。基本的な考え方は株式投資と一緒ですが、不動産という価格の大きな投資方法になることや、居住者とのコミュニケーションや建物の老朽化など、不動産投資特有の注意点があります。
なお、不動産投資の利回りは、賃料÷不動産購入価格で算出されます。株式投資と違って、運営にコストがかかる投資方法ですので、高めの利回り(可能であれば8%以上)を目指して物件の取得を検討しましょう。
不動産投資のメリット
・年単位で安定した賃料収入を確保できる(インカムゲイン)
一般的に部屋を借りるときは、数年間は居住するという前提で契約することが多いです。また、賃料に関しても短期間で大きく増減することは考えづらいので、結果として長期的に安定した収入を得ることができます。
・売却益が見込める(キャピタルゲイン)
株式投資と同様に、不動産投資でも売却益を見込めます。不動産は売りたい人と買いたい人との1対1の取引なので、定価というものはありません。土地の価格や建物の状況、入居率などによって価格は変動します。
例えば、「建物の外壁が傷んでいる物件を安く購入して、リフォームして見栄えを良くして売り出す」、「入居率の悪い物件を安く購入して、満室状態にして売り出す」など、購入時よりも物件の価値を上昇させることで、売却価格を上昇させることができます。古くなったから一律で価値が落ちるわけではないのが不動産投資の面白いところでもあります。
また、一定期間賃料収入を得てから売却するというのも一つの手段です。インカムゲインとキャピタルゲインを合わせた金額が、購入額と運営経費を合わせた金額よりも大きければ、投資活動としては成功です。
ワンルームマンションを数年保有して売却し、その増えた資金でワンランク上の投資物件にチャレンジするという投資家も居ますし、賃料収入を着実に貯めつつ、その資金を活用して複数の物件を同時に保有する投資家も居ます。
・節税効果がある
不動産投資で得た収入から、建物の減価償却費、備品などの設備投資費、ローン金利、固定資産税、都市計画税などの税金といった必要経費が計上できるので、所得税等の節税効果があります。さらに不動産投資での赤字は、他の所得等と損益通算することができ、所得税・住民税等の節税につながります。
不動産投資のデメリット
・空室リスク
不動産の場合、入居者が居なければ賃料収入を得ることができません。ローンで物件を購入している場合、返済原資は賃料収入がメインになりますから、空室状態は最大のリスクになります。
いま満室だったとしても、居住者がいつまでも契約してくれているとは限りません。退去しても、すぐに次の入居者が見つかる保証はありません。いかに空室期間を短くするかが不動産投資を続けるための重要なポイントになります。
・建物や設備の老朽化リスク
時間が経てば経つほど、建物は老朽化していきます。当然ながら電気設備も故障します。
老朽化した建物や故障した設備をそのままにしておくと、入居者募集に影響が出ますし、なにより危険です。不動産投資には必ず付きまとうリスクですから、修繕費のことも頭の中に入れておきましょう。
・金利リスク
ローンを利用して物件を購入する際に変動金利を選択した場合、金利上昇に伴う返済額負担増のリスクがあります。ローンを組む際は、物件の保有期間や返済スケジュールなど検討した上で固定金利なのか変動金利なのかを選択しましょう。
・流動性リスク
株式と同様、いや株式以上に、不動産物件はすぐに売却できるとは限りません。景気の変化や市場動向により、不動産が売却できないかもしれないというリスクも認識しておきましょう。
・不動産価格下落リスク
株式と同様に、購入した不動産物件の価格が下落するリスクがあります。不動産物件の場合、建物が経年劣化するため基本的には価値が下がっていきます。土地についても、景気の状況や需要と供給の関係によって変動します。
これから少子高齢化社会時代に突入する日本では、不動産価格にも影響を与えます。人が少なくなるということは居住物件の需要が下がりますし、高齢者が増えるということは不便な場所にある物件も不人気になる可能性が高いです。都市部の駅チカ物件で、高齢者に優しいバリアフリー化されている物件の需要は高まると思われますので、時代の流れも踏まえて投資物件を検討しましょう。
基本的に投資活動は短期的な利益を期待するのではなく、長期保有して安定的に利回りを得ていくスタイルが好ましいです。例えば100万円の株式を5%の利回りで運用したとすれば、1年後には105万円になります。この105万円がさらに1年経つと110万2500円になります。さらに1年後は、2年後はどうなるのかと長期的に考えてください。
少しずつ元本を増やすことも大切です。最初に100万円購入して、その後、毎月5万円づつ買い増しした場合、1年後の元本は160万円になります。同様に5%で運用した場合、168万円になります。元本が大きくなればなるほど、配当や利息は大きくなります。あくまでも単純計算の事例ですので、厳密にこのようにうまくいくかは神のみぞ知りますが、長期分散型で投資することで、ローリスクで資産を増やすことも可能になります。
投資は一つの案件に集中させてはいけません。
複数の株式に資金を分散して購入することで株価下落リスクを低減させることができます。不動産も一緒です。億ションの1室をいきなり購入するのではなく、まずは余剰資金で1000万円ほどのワンルームマンションを購入し、家賃収入が安定してきたら2000万円のアパートにトライする、5000万円のマンションにチャレンジすると、一歩一歩落ち着いてポートフォリオを充実させていきましょう。
もう一歩進んだ投資の考え方として、日本円だけでポートフォリオを組むことに疑問を持ちましょう。ドルやユーロ、場合によって金や仮想通貨に保有資産を分散しておくことで、万が一日本円の価値が下落した際のリスクヘッジになります。
いずれにしても投資型副業を始める前には、書籍を読んで知識を充足させ、小さな金額からトライしていくことが重要になります。あくまでも「副業」だということを忘れてはいけません。
投資家は数え切れないぐらいのトライ&エラーを繰り返し、資産を増やしています。ずっと成功し続けている人など存在しません。価格下落により資産が減ることも考えられます。いきなり全財産を突っ込むのではなく、最初は余剰資金で運用を開始し、少しずつ金額を増やしていきましょう。